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アダム・オンドラ インタビュー

カテゴリー: その他
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Adam on a project at Schwarze Wand in July 2010 Photo by Vojtech Vrzba
Ondra: Face to Face with the World's Best Climber (UrbanClimber)
When I arrive at 11 a.m. at the boulders of Petrohrad in western Czech Republic, Adam, now 18 years old, is trying a project he thinks to be V15. Early in the morning, he had started the three-hour drive to Petrohrad from his hometown, Brno, together with his father, Miroslav; his sister Kristyna; his girlfriend, Inka; and 14-year-old 5.13d climber Zdenek Ustohal.
UrbanClimber(Steffen Kern) による、アダム・オンドラ(Adam Ondra) へのロングインタビュー。Chilam Balam にトライする前に行なわれたもので、最近登ったルート、今年の予定、両親への感謝、学業やトレーニングに関してコメントしています。以下超訳。

スペイン

最近のスペインでは本当に良い、人生で最高のクライミングができた。グレードも最高。短期間でこれだけのハードルートを登ったクライマーはいないけど、真実。

Chaxi Raxi(5.15b) は 40m もあるのに、ボルダーチックなルート。最初の 10m が核心で、グレードはたぶん V14/15 で、ここだけで 10回以上トライした。そして、レストをはさんで 30m の 5.14d/15a のパートに入る。このセクションにも 3つのボルダーセクションがあり、途中でレストはできるものの、最後のボルダー箇所が、また核心になる。

最初のボルダーセクションを超えたときは、もう完登を確信した。2フィンガーのポケットを取りに行くときのヒールフックのムーブが難しく、ここを集中してできたときに登れた。

Bizi Euskaraz(5.14c) をオンサイトの対象に選んだのは、Patxi Usobiaga が過去にオンサイトしていたから。このルートをオンサイトして考えたけど、人生は長いものの、登っていない 5.14c 以上のルートはもう少ない。どんなスタイルで登るかは慎重に考えたい。

Mind Control(5.14c) は全体的に濡れていたけど、運良く核心は乾いており、濡れていた箇所は滑らないでくれと祈って越えた。ちょっと大変だったけど、濡れているホールドでも持てるよ。自分にとっては限界グレードではなく、核心でもそれほどパンプしなかったので、あとはゆっくり、慎重に、滑らないように登った。

La Capella(5.15b) は Chaxi Raxi とは全く違った感じのルートで非常に短いながらも、1日に 2トライが限界で、核心が随所にある。初登した前日は、特にミスも無かったのに登れなかった。最終日もトライ 3日目で、あまり登れる気もしなかったけど、また来ればいいやと考えたら、気分が楽になって、モチが上がって登れた。

Chaxi Raxi はレスト中に次のムーブについて考えられるけど、雑念も心の中にある。持久力系の長いルートでは、ルート以外のことを考えちゃ駄目。コンペの時も集中しすぎるため、ルート以外のことを考えたことはない。

クリス・シャーマと一緒に Chilam Balam(5.15c?) にトライするという噂は本当だよ。だけど、余りコメントはしたくない。このルートに関して書かれていることは余りにも多いし。

クリスのヘルプは本当に助かる。例えば、Chaxi Raxi はパワフルでシンプルなルートでクリス向きだと思ったけど、クリスが自分にくれた助言は、クリンプを多用したスタティックなムーブで自分の想像とは違って、自分向きのルートだと分かった。自分でも自分のことが分かっていなかった。長いルートではムーブの選択肢が多いので、お互いにそのルートについて話すことは非常に有意義。一緒に同じ課題をトライすることもよくある。クリスは一人でスペイン・カタルーニャのプロジェクトにトライしているので、スペインでは良く会うし。一人でやっていると他のムーブを見つけるのは難しい。

コンペとプロジェクト

今年のメインの目標は 7月の世界選手権。ワールドカップにも参加するかもしれないけど、ボルダーでもリードでも、全戦には出ない。今は岩で登っている方が楽しい。去年、ワールドカップにはフルで参加したのでもう十分。

同じ年にボルダー、リード両方で総合優勝することは、コンペに高いモチベーションを持ち続ける精神力が必要ということがわかった。でも、それだと、岩が登りたくても時間が取れなくなってしまう。

だから、今年の目標は 7月にイタリア・アルコで行なわれる世界選手権。それまではロープクライミングをやり、秋からボルダリングを中心にやるつもり。

トミー・コールドウェルとケビン・ジョージスンがトライしているエルキャプのプロジェクトはオープンプロジェクトだろうけど、彼らの注力具合を考えると、今トライしに行くのはフェアじゃない。彼らには登って欲しい。彼らが登ってからトライしたら素晴らしい体験ができると思う。

自分が開拓したいのは、探すのは大変だけど、5.14b や 5.14d のパートが多いマルチピッチルートをグランドアップで。

アメリカには行きたいけど、ヨーロッパでやらないといけないことが多くて・・・。特にヨセミテに行きたい!! 学校が終わって、旅行する時間が取れればなぁ。

自分には才能があると思うけど、両親がサポートしてくれていることが重要。自分がトライしたいルートにはいつでもどこでも連れてってくれたし、それがクライミングに対する情熱に繋がっている。トライしたいルートが思い浮かんだら、チャンスを逃すことなくトライできた。

トレーニング

最近のトレーニングは週 5日、火~木はインドア、週末は岩場で登ってる。

地元のジムにはリードができる壁がないので、トレーニングの 98% はボルダー壁で登ってる。でも壁は檄悪なので十分トレーニングできる。

普段は学校に行く前に 2-3回キャンパシングをするんだけど、起きるのが大変なので、朝食を食べて眠気がなくなってから 40分ほどキャンパシングして学校へ行き、終わったらボルダー壁で 2時間30分ほどトレーニング。今はシーズン中なので、持久力系の 40-50 ムーブのルートのような課題でサーキットトレーニングをしている。4-5 のジムを使って環境を変えている。

何も食べてないと思われてるけど、そんなことはない。健康に注意して食べてるけど、量は気にしていない。お腹がすいたら食べる。気にしていることはレスト前日の夕方にプロテインを摂ったりクライミングの前日に炭水化物を摂る程度。全然科学的じゃないけど、幸運にも代謝がいい。

クライミングに対するモチベーションが切れたことはない。常にクライミングをしていたいし、楽しみ。クライミングが好きな理由は 2点。ムーブとハードルートを登れたときの達成感。ムーブの美しさやルートの難しさの両方とも面白い。時々グレードの追求に疲れることもあるけど、大抵は楽しんでいる。それよりは長旅の疲れの方が大変。だから帰宅して、回復のために 2晩寝ることは大事。

昨冬、3週間レストしたのは怪我の予防。おかげで、その後は以前よりも強くなったと思う。それまでハードルートは 1日か 2日しか続けてトライできなかったけど、レスト後、La Capella は 3日続けてトライできた。

失敗に対する恐れは常にあるし、トライしているときは大体怒っているけど、それが進化に繋がっている。プレッシャーは自分自身によるもので他人からのものではない。

自分自身のプロジェクトは常に探していて、幾つかあるんだけど、毎日は通えない。あちこち探し回って、ラインを見つけ、ボルトを打つという作業はかなり時間がかかる。限られた時間しか無いので、作業をするよりは、登っていたい。

子供の世代のことはよくは知らないけど、自分より登れているクライマーはたくさんいるはず。5.13d を初めて登ったのは 11歳だけど、5.14b も 11歳。言い訳じゃないけど、今の世代は、自分が 9歳だった頃よりももっとハードなトレーニングをしているはずだから、それはまっとうな進化。

受け入れられないクライミングスタイルはチッピング。壊れそうな石をシカで固めるのはあり。ルートが変わってしまうのは良くない。最近、2ピン目や 3ピン目をプリクリしている人が多いけど良くない。安全面からプリクリしてもいいのは最初のボルトだけだと思う。最初のボルトの位置が悪く、安全に登れないとき。特に初登者の身長が高い場合。そうじゃないと、プリクリはパワーをセーブするためのずるになる。

趣味など

学校は良く休んでるけど、テストで点を取れば何とかしてくれるのでありがたい。だから、ツアーから帰ってきたら、レポートやら勉強で忙しくなって睡眠時間が減る。

フリーのオフシーズンである冬は、良くスノーボードに行ってたけど、最近はスペインだと冬でも登れることが分かったので、山には余り行かなくなった。

本を読むのは好きで、クライミングをしていないときは良く本を読んでいる。あと、旅行中やコンペのアイソレーションルームでも。

映画は長いこと行ってないけど、劇場には時々行く。はやりの映画や音楽には疎い。だから、特にこれといった好きな音楽もなければ映画もなく、それよりは読書がいい。

夜型というより朝型の人間。

コーヒーよりは紅茶。特に緑茶がいい。夜は赤ワイン。

特にこれといった宗教は信じてないけど、無形の何かは信じてるかも。

2月に 18歳の誕生日を迎えたけど、特に変わったことはない。運転免許を取ったくらい。今も両親と暮らして日常を送っている。

いつまでも両親と一緒に動いているのはおかしく見えるので、自分一人でも色んな所に行きたい。だけど、両親と行くのが、行きたいところに行けるし、楽。友人と行くと満足行くクライミングができない。ちょっと自分のエゴだけどね。

父親は定職を持っている。ので、常に両親と一緒に移動してクライミングをしているわけではなく、大抵どちらかだけ。

チェコはいいところなので、特にクライミングに適した場所に引っ越すつもりはない。近くに Brno という石灰岩の岩場があり、そこでクライミングを始めた。つるつるに磨かれているので、クライミングテクニックを磨くのにもいいし、まだ難しいプロジェクトがあって、トライするのが楽しい。

ホームタウンには 5つのジムがあり、プライベートジムもあるけど、環境を変えられるのでナイス。

スポンサーは経費全てを払ってくれるわけではないけど、毎年決ったお金をもらってる。それで十分だし、やりたいことはできてるので不満もない。

学校に行ってるうちは今のスポンサーだけで十分。これ以上仕事は増やしたくないし、クライミング以外は学校だけで十分。安定した生活を送るには十分で、もしスポンサーが何か変なリクエストをしてきても、いくらお金をもらったとしても断ると思う。なんらかの不安要素を持ってクライミングはしたくない。

来年の 5月で高校はおしまい。卒業してから 2-3年はクライミングのために学業はやめて、その後に大学へ行くつもり。クライミング人生やクライミングをやめた後にも役に立ちそうな勉強をする予定。たぶん経済学。

プロクライマーにはならないと思う。

その他

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