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世界で2本目の5.15dルート、Bibliographieを初登したアレックス・メゴスのインタビュー

カテゴリー: その他
Interview: Alex Megos on "Bibliographie" (5.15d) (Rock&Ice)
Establishing a 5.15d was the culmination of three years of work on a single project for Alex Megos. "It's always hard to say what your own personal limits are," he told Rock and Ice. "You always have the feeling it might be possible to climb just a little bit harder.'
8月 6日に、世界で 2本目の 5.15dルートとなる Bibliographie を、フランスのセユーズで初登した、ドイツのアレックス・メゴス(Alexander Megos) のインタビュー超訳。
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- 最初に Bibliographie をトライしたのはいつですか? 最初から難しさを感じましたか?

最初に Bibliography をトライしたときは、かなり可能性を感じました。難しいのはわかっていましたが、これほど難しいとは思っていませんでした。2017年 9月の最初のトライまで、実際にどれくらい難しいのかはわかりませんでした。
- 3年間で 60回くらいトライしてるんですね。トライ数は、毎年均等ですか? 毎回、順調に進展を感じていたのですか? それとも今年になって何か新しい発見があったのですか?

3年間の進捗は確かに安定していません。2017年 6月に 1週間ほど最初のトライをしました。2017年 9月に、完登するために戻り、1ヶ月トライしました。しかし、ボルダーセクションは一度もクリアできませんでした。

2018年は 6月に 2週間だけしか行けませんでした。そして、フランス・ブリアンソンでのワールドカップの前後に 3日間トライしました。

2018年の秋にトライしに行きたかったのですが、怪我でトライできませんでした。それから 2019年はコンペの大会が詰まっていて、時間があったときには、また指の怪我をしてしまったので、トライしに行くことができませんでした。

2020年になってようやく時間に余裕ができたので、プロジェクトに専念することにしました。6月におこなった最初のツアーは、まったく成功しませんでした。これまでルートに特化したトレーニングは全然やったことがなかったので、ルートを完登できるチャンスはありませんでした。とにかくそのツアーでは完登はまったくできなさそうだったので、2週間ほど様子を見てみようと思いました。

トレーニングのために 2週間ほど家に戻り、2020年 7月にまたセユーズに戻りました。そのツアーの最初の 1週間は、やっぱり余りうまくいきませんでした。しかし、2週間目に突然、私は突破口を見つけました。初めて、途中のボルダーセクションを解決できたのです。
- ルートについて詳しく教えてもらえますか?

ルートの最初のセクションは パワフルな 5.14a。中間部のボルダーセクションの前に 10ムーブほどレスト的なセクションがあります。ボルダーセクション自体は 4ムーブで、V12 程度。ボルダーセクションの後は、まだ 25ムーブあり、その部分は 5.14d 前後です。悪い箇所はカチとポケットで構成されています。
- ボルトは 2009年にアメリカのイーサン・プリングル(Ethan Pringle) が打ったんですよね? オープン・プロジェクトだったんですか? 他の強いクライマーは何年もトライしていなかったのですか?

はい、ボルトはイーサン・プリングルが打ちました。正確な年は分からないけれど、2009年だと思います。トポにはオープン・プロジェクトと書かれています。他のクライマーがこのラインにトライしたことは聞いていません。イーサン自身がボルトを打った後に少しトライしたのは確実ですが、よくはわかりません。
- 実際に完登できた日には、どんな感じでまとまったんですか? それはすべてが簡単で完璧に感じられた奇跡のトライだったのですか? それとも大変なトライだったのですか?

完登できた時のツアーは、あまり良いスタートではありませんでした。最初の週は、ルート上ではまったくチャンスがあるとは思えませんでした。しかし、2週目になって急に突破口が見えてきて、ボルダーセクションが解決できました。実際に自分でも可能性を実感しました。

2日間、良いコンディションの日を過ごし、その後、気温が上がったためセユーズでは登れなくなってしまいました。私たちは数日間、別のエリアでクライミングをすることにしました。

翌週の初め、天気予報では 2日間気温が大幅に下がると言われていたので、私たちはセユーズに戻ってきました。ここにチャンスがありました。

気温が下がった最初の日には、最後のハードなムーブで落ちてしまったけど、素晴らしいトライができました。2日目には簡単なセクションに入る4手前で落ちてしまった。1日に 1回しか良いトライはできないことを知っていたので、気温が下がった 2日間以降は車で家に戻ろうと思っていました。とにかく次の日には暖かくなるはずでした。状態は完璧ではなくても、もうワントライしたかったので、あと一日滞在することにしました。

しかし、その最後のトライは比較的早く終わってしまい、そのことにかなり腹が立ちました。ルートの前半は調子が良かったにもかかわらず、ボルダーセクションで落ちてしまった。帰る前の最後のトライにしたくなかったので、その日はもう 1回トライすることにしました。

いつもは 2回目のトライは最初のトライほどうまくいかないので、期待は低かったですが、驚いたことに、そのトライはうまくいって登れました。
- Bibliograpie のために特別なトレーニングをしましたか?

Bibliograpie のための特別なトレーニングは、集中力を高めるのと、持久力系のサーキットトレーニングをしました。核心のレプリカを作ったこともありますが、それはあまり効果がなかったように思えます。
- Bibliograpie は素晴らしいルート名ですね。このラインのために頭の中にあった名前で、完登できたときのために温存していたのでしょうか?

Bibliographie はすでにプロジェクトの名前になっていました。フランスでは通常、ボルトを打った人がルート名を決めます。

イーサンと話しましたが、彼はルート名をつけたかどうかは覚えていませんでした。トポにこの名前で載っていただけかもしれないし、長年のプロジェクトだから、みんなこのルート名を知っていたのかもしれません。だからルート名は変えたくなかったんです。
- どんなプロジェクトでも、限界だったり、限界に近いと、できるかどうかわからないと思えてちょっと怖いですよね。難しすぎると思ったことはありますか?

確かに、これ以上登れないかもしれないと思うと怖い時もありました。何回かツアーをしていて、疑問に思った日も何度かありました。それは常に期待感と進捗状況に依存しています。
- これが自分の限界だと思いますか? それとももっとハードなルートが登れますか? 5.16a のルートは今後数年で出てくるのか、それとももっと先なのでしょうか?

自分自身の限界がどこなのかを言うのはいつも難しい。もう少しハードなルートを登れるかもしれないという気持ちは常に持っています。そんなハードルートを見つけられるかどうか、そしてそれが十分に 5.16a であるかどうかが大きな問題です。
- あのピザはどうしたの? 全部あなたが食べたわけではなかったのですか?

キャンプ場の友達全員分を丸ごと買っていきました! ツアー最後の夜にみんなに感謝の気持ちを伝えるにはいいやり方だと思いました。
- ピザ屋さんがニュースを流したことは驚きましたか?

ピザ屋さんがニュースを漏らしたことにはあまり動揺しませんでした。SNS に投稿してもいいのかどうか、前もって聞いてくれればよかったと思います。いつどこにニュースを掲載するかは、私が決めることだということを尊重すべきだと思います。しかし、もう過ぎたことです。彼は 12枚の特別なピザを作ってくれました。
- Bibliographie を完登するまで、特に誰かサポートしてくれた人や、助けてくれた人で、声をかけたい人はいますか?

それは書き出すと長いリストになります。しかし、常に多くの人がサポートしてくれてるし、必要なときには助けを求めてもいいことを、みんなに示すことも自分にとっては大事なことです。

27年間、私を支えてくれた家族に感謝したいです。私の友人フェリックスには、いつも私を助けてくれたことを感謝したい。ケン・エッツェル(Ken Etzel) には、彼がしてくれたすべてのこと(多くのことをしてくれた) と、一緒に素晴らしい映像作品を作ってくれたことに感謝したい。ガールフレンドのジェニヤには、長時間のビレイ、モチベーションを高めてくれるアドバイス、多大な理解とサポートに感謝したい。2人のコーチ、パトリックとディッキーには 15年近くもお世話になってることに感謝したい。

そして、チェルシー、ミゲル、マリアナ、リアム、サム、ルゥ、アリーゼ、ハンスにも感謝したい。彼ら全員がサポートしてくれた。
- それで、ノルウェーのフラタンゲルケイブに行って Silence(5.15d) をトライするつもりはありますか? Bibliographie とは全く違うタイプのルートのようだけど、世界に 2本しかない 5.15d のルートなので、興味はあるでしょう。アダム・オンドラと Bibliograph について話したことはありますか? 彼がトライするのはいつになると思いますか?

Bibliograph と Silence のタイプはそれほど大きな違いはないと思います。アダムのスタイルには合っていて、Silence もこのスタイルにとても合ってるように思います。

アダムとは、まだ Bibliographie について話したことはありません。ヤコブ・シューベルト(Jakob Schubert) とは話したのですが、彼はいつかやってみたいと思ってると言ってました。
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アレックス・メゴスが Perfecto Mundo(5.15c) を初登するまでの映像作品『ROTPUNKT』の導入部分の映像が Bibliographie だと思われます。

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