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世界初の5.15aをフラッシュしたアダム・オンドラのインタビュー

カテゴリー: その他
Interview: Adam Ondra on Completing the World's First 9a+/5.15a Flash (Rock&Ice)
It wasn't even six months ago that Ondra wowed with the world's first 5.15d redpoint. Now he has pushed the sport in a different way, making the world's first flash of a 5.15 by sending Supercrackinette on his first go.
先日、アダム・オンドラ(25/Adam Ondra) が、フランスのサン・レジェール(Saint Léger) の岩場で、Super Crackinette(5.15a) をフラッシュしました。5.15a のフラッシュは世界初となります。
以下、アダムのインタビュー超訳。高難度ルートのオンサイトやフラッシュはルート自体が少ないことが一番の難しさのようです。

- アダム、5.15a のフラッシュおめでとう、5.15aのフラッシュはいつ頃から考えていたの?
2008年のフランス・セユーズまでさかのぼるんだけど、Biographie(Rock&Ice的には Realization って言ったほうがいいのかな) をフラッシュできるかなと思っていました。すでにその頃にはフラッシュでトライしたいと考えていました。そして、フラッシュするためにこのルートは温存しておきました。その時は、まだ、ほとんどの人が馬鹿げたアイデアだと思っていました。

そして、2012年に Biograpie をフラッシュでトライしましたが、その時の自分には難しすぎました。

それ以外には、5.15a のフラッシュに適したルートはありませんでした。当時、5.15aのルートはそれほど多くはなく、ほとんどルートは登っていたか、トライをしていました。

2014年に、スペイン・サンタリーニャで Selección Anal(5.15a) をフラッシュでトライしましたが、非常に惜しい結果となりました。ただ、そのルートは正確には 5.15a ルートではなく、簡単目の 5.15a か難し目の 5.14d だと思います。どっちにしろ落ちてしまったので、グレードはもはや関係ありませんが。

そのトライの後、完璧なフラッシュの候補となるルートはありませんでした。ですが、2015年、フランスのサン・レジェールにいたとき、Super Crackinette はまだプロジェクトでしたが、ローカルのクライマーが、たぶん 5.14d はあると話してくれました。そして、アレックス・メゴスが 2016年に初登して 5.15a というグレードを付けました。

それは素晴らしいラインで、アレックス・メゴスによって認定された 5.15a ルートでした。だから、その瞬間から、5.15aフラッシュの大きな目標ラインとなりました。
- Super Crackinette が 5.15a のフラッシュのための候補となった理由は何?
Super Crackinette は見た感じ、変則的なムーブのルートではありません。インカットしたカチのルートで、自分の得意系のクライミングです。難しさの核心はパワー持久力系です。ルートは約 20m の長さで、最後の 4-5m はそれほど難しそうには見えないので、核心はもっと短くなります。核心部は自分のムーブで 28ムーブです。

それぞれのムーブはそれほど難しくありませんが、大変なのはチョークアップするのが難しいことです。レストせずに登り続けなければならず、登っているうちに体力を吸われ、指がだんだん開いてしまいます。
- このフラッシュのために、精神面や肉体面ではどんな準備をしたの?
私はこのルートのために自宅でトレーニングをしていました。特に、パワー持久力系のトレーニングを多くやっていました。親友のセブ・ブワン(Seb Bouin) がルートの情報について教えてくれと思っていました。彼はまだ完登できていなかったのですが、数回トライしていました。だけど、彼がトライしてからだいぶ時間が経っていたため、彼はいい情報を提供できるかどうかの確信を持てていませんでした。

私は会ったことがなかったのですが、セブはクエンティン・シャスタニー(Quentin Chastagnier) を知っていました。Super Crackinette のオリジナルのラインのボルトを打ったのはクエンティンで、彼は長い間 Super Crackinette をトライしていました。彼は完登が近いわけではありませんでしたが、ルートをよく知っていました。だから、彼はルートの情報を教えてくれるためにサン・レジェールに来てくれました。

フラッシュへのプレッシャーが増えました。ルートの情報を教えてくれるのに完ぺきな人がいたのはいいことなのですが、同時にクエンティンもその場所におり、撮影スタッフもこのフラッシュトライのために到着し、撮影のために多くの人を巻き込むことになりました。

私たちは 2週間前にサン・レジェールに着きました。Super Crackinette を除き、岩場のほとんどのルートが濡れていました。Super Crackinette は乾いていたものの、初日にトライするのはあまり良いことではないとわかっていました。まずはここの岩場に慣れたいと思いました。

だけど、同時に、他の面白そうなプロジェクトは全部少し濡れていました。そのプロジェクトの幾つかは、ガイドブックでは 5.15a というグレードには疑問符が付けられており、登れずに何回も落ちたため、 5.15a のフラッシュができるかどうかが自分でも疑わしくなってきました。
- クエンティンから情報をもらった時、ムーブを覚えようとした? 彼の情報があなたにとってはどんな役割を果たしたの?
核心部分は、クエインティンはムーブを教えてくれましたが、彼にはまだプロジェクトで、その箇所を繋げられていなかったので、その箇所で数秒レストして手をシェイクできるかどうかはわかりませんでした。

パワー持久力系のルートでは、ルートのリズムをイメージできるかどうかが非常に重要です。実際、核心にはレストできる箇所はなく、0.5~1秒、少し手を振るためのレストポイントを作る必要がありました。だから、クエンティンには全てのホールドについて聞きました。スローパーなのかインカットなのか、1秒でも手を振ることができるのか、ロックオフできるのか、などなど。各セクションのリズムと登るスピードをイメージしようとしました。
- 実際に登っている時はどう感じたの?
出だしのセクションは完璧でした。特に精神面は最高でした。前日に言ってたように、余り自信はなかったし、結局はただ自分自身に「オッケー、行ける行ける」と言ってただけでした。だけど、ウォームアップは本当に上手くできたし、だから、できると信じて登り始めました。

高い期待と強いモチベーションは持たず、ただできると信じ続けていました。

最初のムーブからゾーンに入ってる感覚があり、難しいことも余りなくルートを登りきりました。だから実際のルートに関してはほとんど覚えていません。

最初の核心ムーブは 20手目で、インカットのカチでロックオフをして、モノポケットを取りに行く大きなムーブです。ムーブ自体はばっちりこなし、その後の 2箇所のポケットは、少なくともチョークアップはできるレストポイントをイメージしていました。しかし、クエンティンの指は私の指よりも細いようで、ポケットに指をねじ込むのに苦労しました。だからここは自分にとってはあまり良くない箇所でした。急に快適なゾーンから外れる感じになりました。

それから 28手目がこのルートの最大の核心です。左手で 2本指の小さいカチを抑え、大きなムーブを起こしながら右手でカチを取りに行くムーブ。核心が近づくにつれ、頭の中に「いよいよ核心のムーブだ。行けるかな? 自分は強い? 弱い?」という考えが浮かんできました。このようなルートを登るときには絶対に考えてはいけないことです。幸い、最後の核心ムーブのときには、このような心の動きは切り捨てて動くことができました。
- これまでに何本かの 5.14d をオンサイトしているよね。オンサイトとフラッシュのトライって、精神面の準備や実際のクライミングでの違いってあるの?
違いはあります。個人的に言えることは、フラッシュは精神面でオンサイトよりも難しい。オンサイトトライの時は、しっかりオブザベーションをすると思うけど、あなたはただこれまでの経験と直感に頼っているだけです。だけど、フラッシュトライの時は、あなたが得た情報をくれた人を頼ることになる。だから、完全な精神状態に入ることは難しいと感じています。

このルートでも、足の使い方に関して、より自然に感じられるように、自分のムーブを 2ヶ所変更しました。さらに、クエンティンの情報にあわせて正確なクライミングをしました。私はあまり先まで見上げることはせず、ただただ次のホールドを探して登りました。そして、先に述べたように、2箇所のポケット以外では、ほとんどイメージ通りに動くことができました。
- このルートは 5.15a あると思う?
かなりハードには感じました。だから 5.15a はあると思います。完登しているアレックスだけではなく、トライしているセブやセドリック・ラシャ(Cédric Lachat)、クエンティンもこのルートは 5.15a だと感じています。だから信頼できる 5.15a だと思います。
- 世界で最も難しいルートをレッドポイントする、信じられないほどの能力を持っているし、他の誰よりも難しいレベルのフラッシュやオンサイトもしているよね。どのスタイルが一番好きなの?
スタイルを変えるのが好きなので、どれも全部好きです。それが一番楽しい。だけど、自分が持っている一番優れた能力はオンサイト力だと信じています。素早く判断する能力とその判断が正しいと信じる能力です。
- フラッシュやオンサイトの能力って、ハードなプロジェクトのトライに役立ってる?
オンサイトの能力は、より早くレッドポイントすることに役立ってると思います。数多くのルートをオンサイトトライするだけで、あなたのムーブの幅はかなり広がります。40m のルートを登っていると、多くの判断をしないといけない。年に数本のルートしか登っていなかったら、完璧なムーブを見つけないといけない状況はほとんどないため、決してオンサイトできるようにはならないでしょう。
- 5.15a のオンサイトはすぐにできると思う?
いつの日か、自分にもできるようになると思いますが、今はまだそのレベルには達していないと思います。5.14d のオンサイトと 5.15a のフラッシュのどちらが難しいかは、はっきりとは言えません。肉体的な能力面では同じだけど、個人的には、精神面ではフラッシュのほうが大変です。ルートの選択肢があまりないから。
- 次の目標は? この半年で Silence(5.15d) を完登し、多くの 5.14d、5.15a、5.15b ルートを登っていて、そして今回のフラッシュと、信じられない半年を過ごしているよね。
今年の目標は色んな場所で色んなルートを登ることです。自分にとって、グレードの面ではすぐには次のステップには進めないと感じています。5.16a を登ることや 5.15a のオンサイトは今は無理です。これまで以上のスピードで 5.15b や 5.15c のルートを登るなど、自分が進化しているかどうかを判断する方法はいくつかあります。

だから今の目標は色んな場所に行って、高難度グレードのプロジェクトを探し、すぐにトライすることです。そして 9月の世界選手権にしっかり準備して参戦するつもりです。

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