クライミング ニュース サイト

北海道の奈良、吉田ペア、小樽赤岩・クリスタルフェイスの"翼あるもの"(5.14a)を完登&インタビュー

カテゴリー: 国内
9.jpg
北海道の吉田貢さん、奈良誠之さんが北海道・小樽赤岩・クリスタルフェイスにある"翼あるもの(5.14a)" を完登しました。それぞれ第 2、3登になります。また、同岩場で新たに"石狩湾台風(5.13c)"、"翼への道(5.13c)" と 2本の新しいラインも開拓しています。
20171126_220936.jpg
ピンク:石狩湾低気圧 / 青:翼への道 / 黄:石狩湾台風 / 緑:翼あるもの
翼あるものは 1999年に故・吉田和正氏が初登したルートで、長らく再登者が出ていなかったラインでした。初登時のグレードは 5.13d/14a とされていましたが、数年前に上部の岩がはがれ、非常に困難なルートとなり、グレードに関しては 5.14a と考えられているようです。10月 1日に吉田さん、11月 12日に奈良さんが完登しています。
また、石狩湾台風(5.13c) は、下部は "翼あるもの" を登り、中間部のニーバーレストから "石狩湾低気圧" へ入るラインで、10月 9日に奈良さんが初登、10月 20日に吉田さんが第 2登しています。
2.jpg
そして、翼への道(5.13c) は、下部は石狩湾低気圧を登り、中間部のニーバーレストから翼へ入るラインです。10月 20日に吉田さんが初登しています。
今回の完登にあたり、奈良さんと吉田さんにインタビューをおこないました。
・これらのラインはいつ頃からトライしてたのですか?

【奈良】
2015年にリボルトされた "石狩湾低気圧(5.13a)"を同年10月に奈良・吉田で完登しました。2016年 8月に "石狩湾低気圧" の上部未開拓パートをカムナッツで登り(5.10NP)、9月に最上部 "風を讃えよ(5.13a / 吉田和正初登)" を登り、3ピッチの直登ライン "クリスタルフェイス中央" を作りました。しかしこのラインは 2017年にカムナッツで登った 2ピッチ目が大きく崩落し消失しました。

2017年 7月に "翼あるもの" 上部 "海を泳ぐ男(5.12d / 吉田和正初登)" を吉田が第 2登、奈良が第 3登しました。

それまでも "翼あるもの" は少し触っていましたが、7月以降に本格的にトライを始めました。ペースはおおむね月 2、3回ですが、奈良と吉田で一緒にトライしたのは数回です。9月は奈良吉田で DWS の開拓行動をしていたのでトライ回数は少ないです。

【吉田】
2009年に一度 "石狩湾低気圧" に取り付きましたが、あまりのボルトの錆びぐあいに危険を感じ断念しました。その後、2015年にリボルトされ、その年に奈良、吉田で "石狩湾低気圧" を完登し、2016年に 1P目「石狩湾~」と 3P目「風を~」を繋ぐ 2P目をナチュプロで開拓しマルチルートを作りました。今年に大崩落があり 2P目が消滅してしまいました。その流れで、何となく今年の 5月から月 2~3回ほど通い始めました。
5.jpg
・いつ頃からトライしようと決めたのでしょうか?

【奈良】
クリスタルフェイスのルートを 1本ずつ登っていたら登るのが無くなりました。もしかして "翼あるもの" も登れないかなと 2017年春にチェックしてみたのですが、全く登れる気がしませんでした。

【吉田】
吉田和正氏が道内で登った 14台で、第 2登がないルートではあったので、以前から興味はありました。触ってみると中間部のニーバーレストからのムーブどころかホールドも見当たらず、以前トライしていた人から初登時にあったホールドが崩壊したことを聞き、尚更登れる可能性が見えなくなりました。はじめは触っても手応えが全くなく、何となく触っていただけでしたが、8月に入って岩の状態も良くなり、少しずつではあったが希望が見えてきました。
・ふだんトライするルートはどうやって決めてるのですか?

【奈良】
僕か吉田が面白そうなルートやラインを見つけてきて、それを一緒にトライします。面白そうだなと思うセンスが似ているのか、吉田が僕に気をつかって付き合ってくれているかは謎ですが、これは夏も冬同様です。

【吉田】
ルートのグレードは特に考えてなく、素直に岩の良いラインを奈良さんと互い見付けてはそこへ一緒に登りに行きます。最近は写真を撮り合うこともおこなっているので、クライミングのポスターや雑誌の写真に憧れ、ここを登っている写真を撮りたい!と思う所を登りに行きます。
view_image.jpg
・これらのラインに対するトレーニング、普段のトレーニングはどんな感じなのでしょうか。

【奈良】
フリークライミングに関してトレーニングらしいことはしていません。週に岩を 1回程度、ジムクライミングを 1回 3時間程度です。
アイスクライミング用には秋冬と血と汗と涙が出る苦しいトレーニングを約 5カ月週 3~4回行います。

【吉田】
普段は旧美唄工業高校の体育館で登り、休日にパートナーがいない時は岩場にボルダーに行き長めのトラバース課題をひたすらおこない、その他は家でキャンパシングをやっていました。昔は肉体や指ばかりを鍛えていたが、今はクライミングは「心を鍛えるものだ」とわかってからは、故障しないトレーニングを出来るようになった気がします。
・夏でも冬でも奈良さんと吉田さんは一緒に登っている気がしますが、いつ頃から一緒に登ってるのでしょうか? きっかけは何だったのでしょうか?

【奈良】
父親の所属する山岳会に吉田がいました。2005年に北海道で開催されたアイスクライミングコンペに出場するために一緒に練習したのがたぶん最初です。
あるシーズンに吉田が北海道の 13ルートを片っ端から登って、『他にすること無いのでクライミングをしていたら沢山登れた!』と言っていたのを聞いて実に正直だなと思いました。吉田はややこしいクライミング論も言わないし、どんなに登れても格好をつけないスタイルなので、一緒に登っていて非常に気持ちが良いです。吉田は 10歳年下ですが、僕が若いのか、吉田が老けているのか不明ですが年の差を感じることはありません。

【吉田】
2005年にアイスクライミングのコンペに出場し、それから互いのトレーニング方法を話し合うようになり、一緒に登るようになったと思います。
僕はただ登ることしか考えていませんが、奈良さんは、そこを登る事で何に繋がるか、これから自分がしたいことにどう繋げて行くかの計画をたてるのがとても上手いです。奈良さんと行動していると、自分では考えていなかった事に出会えたり、思いがけない事が多々おきます。一方、ちまたでは「奈良さんに誘われたヤツは犠牲者だ!」と言う人達もいるようです(笑)。

詳しい行き先も告げられず「懸垂1000ポイント(1000回)貯めとけ」と言われる女の子や、奈良さんと遊んだ帰り道、車の中で失神している女の子がいたり、北陵倶楽部の千葉敦久氏に限っては、ウエイトトレーニングや懸垂と日々のトレーニングに抜かりがなく「何を目指しているのか?」と聞くと、「奈良さんにいつ誘われても良いように!」と奈良さんと遊ぶための準備をする人もいます。僕は割りと始めから行動を共にしていたからか、気づきませんでしたが、客観的に見ると周りに奈良さんの様な人はいないかも、、、何人もいたら体が持ちません。以前は他の人達とも登りに行っていましたが、気が付くといつも奈良さんと登るようになっていました。もしかして、お互い友達が...。
・夏でも、冬でも、次の目標があれば教えて下さい。

【奈良】
アルパインクライミングに興味はありますが、それ以上に消防士の仕事が気に入っているので 1ケ月もかかるような大きな遠征を夢見ても現実にはなりません。北海道の季節の中で自分のライフスタイルで出来る範囲のチャレンジをしたいと思っています。今冬は未完成のミックスプロジェクトがまだ何本も残っているのと未開拓エリアの調査をしようと思っています。来春からは海岸線をカヤックで調査しながら DWS の開拓をしようと考えています。しかしどれも目標というほどではなく、いつも通りの日常クライミングです。

【吉田】
今シーズンのようにハードなフリーをすることも楽しいですが、グレードにとらわれず登りたいと思う所を登りたいです。夏は今シーズンに少し DWS をやったのですが、登るだけではなくアプローチも楽しみながらの行動も違う世界が開けてとても魅力的でしたので、来シーズンもトライして行きたいです。

冬は道内に未開拓のミックスラインや冬期に誰も入っていないエリアの調査など、北海道はクライミングの歴史が浅い分まだまだ魅力が残っていると思うので、夢をみながら地道に登ります。
・世間的にはクライミングがブームになってきていますが、北海道のクライマー人口は増えてますか? それにともなって岩場などで問題はありますか?

【奈良】
ジムのある札幌などではクライミング経験者は増えていると思いますが、クライマーと言える人は増えていないと思います。岩場での小さなトラブルはあるかもしれませんが、大きな問題は発生していないと思います。もしかして僕らが問題を起こしてしまうかもとヒヤヒヤしています。

【吉田】
札幌や旭川などではジムも増え人工壁を登る人は増えたのかもしれませんが、そこに自分が登りに行くことはないので増えた様な感覚はありません。岩や氷を登りに行ってもめったに人に会うこともなく、自分のクライミングをする分には何も影響はないです。逆に外を登る人が少ないので、誰も登っていないところを登る時にどうしたら良いのか? という疑問があります。
・現在のスポンサーは、奈良さんも吉田さんもモンベルになるのでしょうか?

【奈良・吉田】
そうです。サプライヤーという形でサポートしていただいております。

その他


年間人気記事

2012年の人気記事Top20

  1. 田嶋あいか、瑞貴姉弟が鳳来で成果
  2. 残置カラビナでロープが切れ、男性が墜死
  3. マグナス・ミトボのトレーニング
  4. 小山田大、マッドロックからイボルブに移籍
  5. ブロッキング機能のあるビレイデバイス
  6. 摩耗したカラビナの危険性
  7. 兜山ロッククライミング自粛のお願い
  8. (追記)マムートの新ハーネス
  9. アダム・オンドラ、5.15cの新ルートを開拓・初登
  10. 尾川智子、世界初のV14を登った女性に
  11. 『黒部 厳冬の十六日間』 - 佐藤裕介スライドショー
  12. 印象に残った動画ベスト15 @2011
  13. ダニエル・ウッズ インタビュー(2012の目標)
  14. 安間佐千、La Rambla(9a+/5.15a)を第9登
  15. 最近のフリーの記録 - 2012/6/26
  16. 2012年のクライミング
  17. 重い人をビレイする方法
  18. 小山田大、Story of two worlds完登
  19. ヨセミテでハンタウイルスで2名死亡
  20. パトリック・エトランジェ、亡くなる

2011年の人気記事Top20

  1. (追記)アディダスが5.10を$2500万で買収
  2. 鳳来・鬼石「卒業」での事故報告
  3. 第一回ボルダリング日本代表強化合宿
  4. 印象に残った動画ベスト15 @2011
  5. 小山田大、笠置のプロジェクトを完登「常世」
  6. 女性用クライミングシューズレビュー
  7. チョークバッグのFINGER JOINT
  8. 尾崎隆さん、エベレスト頂上付近で死亡
  9. CCHエイリアン、秋からFixeより再販
  10. 谷口ケイ&平出和也ペア、ナムナニ峰登頂
  11. 安間佐千、Pachamama(5.15a)を第2登
  12. ストーブ
  13. 『ユージの部屋』 第1回・小山田大
  14. アダム・オンドラ、V16課題を初登
  15. ギガT&トロT
  16. ボルダリングワールドカップ観戦メモ
  17. 『チャレンジ!ホビー 壁に挑め! ボルダリング入門』
  18. Giri-Giri Boys、Daddomain東壁初登
  19. アダム・オンドラ、V16課題を第2登
  20. JFA2011日本選手権"マムートカップ"