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アダム・オンドラのプロジェクト ハードの完登インタビュー

カテゴリー: その他
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Photo by Pavel Blazek
Adam Ondra climbs world's first 9c at Flatanger in Norway(Planet Mountain)
Interview with Czech climber Adam Ondra who on 3 September 2017 at Flatanger in Norway made the first free ascent of his Project Hard, a sport climb which the 24-year-old has graded 9c. Should this be confirmed, then the 45m line checks in as the first 9c in the world.
9月 3日に、世界最難の 5.15d ルートとなるであろう、ノルウェーのフラタンゲルケイブのプロジェクト ハードを完登したアダム・オンドラ(Adam Ondra) のインタビュー。
以下超訳。

- アダム、おめでとう。多くの月日をかけてトライとトレーニングを行った結果、ついに昨日初登したわけだけど、驚いた?

うーん、多分スタッフの方が驚いたと思う。実際、今回のツアーの初日から全く違った感覚があったので、かなり早く登れると信じていた。ルート自体に全く違った感覚があったし、自分もクライマーとして全く別人のようだった。とにかく、プロジェクト全体が急に現実味を帯びてきていた。
- ルートは V15、V13、V10 と3つの異なるボルダーセクションから構成されているんだよね? 前回のインタビューで、全部のボルダーセクションはこなせるけど、最初の 5.13d の 20m をこなしてからだと、難度が上がって、核心をこなせるかどうかの確信は持てないって言ってたけど?

今回のツアーの 3日目の、最初の地上からのトライのときに、全てがこなせるということがわかった。実際、昨日の段階では、今日登れるとは思っていなかった。ちょっと疲れていたし、気温も高くて岩場の状態も良くはなかった。だけど、非常に乾燥していたので、結局容赦ない暑さも問題にはならなかった。
- いつ登れたの?

昨日(9月 3日) の最初の本気トライで登れた。主に、足とふくらはぎに大きな負荷がかかるので、本気トライは 1日に 1回しかできないと思っている。
- 足の疲労ってずーっとかぶった状態で登ってるから?

はい、全てニーバーのせい。レストのメリットを最大にするために、ニーバーをしないと駄目だとわかってた。だから、登った後は自分の足は本当に疲れていた。特別に足のトレーニングもしていたんだけど、2回目の本気トライをやると、1度目のトライに比べるて、ニーバーを使ってのレストでは完全には休めていない。
- 足の特別なトレーニングについてもうちょっと教えて下。最初に聞いた時、非常にかぶったルートをやるのに、足のトレーニングが必要というのは奇妙に感じる。

はい、プロジェクト ハードではハングの中で上下が逆さまな状態で、ニーバーを使ったレストが 7箇所出てくる。上下逆さまでぶら下がっている状態は、ふくらはぎを除いて、身体の 99%がリラックスできる唯一の瞬間なので非常に重要。ニーバーを使って 2分間その場にいる状態は、たったひとつの筋肉に非常な負荷をかける。だから、ニーバーを使ってより長く耐えられるように、特殊なトレーニングを幾つかしている。そのお陰で、腕の疲れを回復するチャンスになる。
- 柔軟性もトレーニングしていたって聞いたけど。

はい、していた。私の理学療法士であるクラウス・イセレ() と一緒に他のことにも焦点を当てた。ふくらはぎの筋肉のトレーニングだけではなく、側筋のトレーニングやフットジャムの足をできるだけ高い位置に決めるために、上下逆さまになる力をつけるトレーニングもした。それからもちろん、核心で凶悪的に悪いドロップニーをするために、柔軟性もつけた。
- さっき、今回のツアーは最初からすぐにすべてが違ってると言ってたけど?

私は密かに、今回のツアーは全く違う感じになると思っていた。なぜなら、前回のツアーの最終日がいい感じだったから。だから、家に戻ってからは本当に簡潔なトレーニングをやっていた。パワー持久力系のトレーニングをやめ、15ムーブは続けてできないくらいの強度の高いトレーニング。とにかくパワー系のトレーニングに特化した。キャンパスボードやプロジェクトと同じ傾斜、ホールドでのボルダリング。カチ系のホールドは全く無く、スローパーとアンダークリングとクラック。
- 45m のルートなのに持久力系のトレーニングはしなかったの?

唯一やったのは、フィットネストレーニングと呼んでるものだけ。 私は、ある程度の時間登り続けることができ、ニーバー中の数分で可能な限り回復できるようにする必要があった。だからインターバルトレーニングをたくさんやった。短いレストを挟んで、多くのボルダー課題を続けて登っていた。これはプロジェクトのために必要な肉体トレーニングだった。持久力系のトレーニングをやめたことで、かなりのパワーが付いたと思っている。だから、ツアーの初日で、核心のホールドはガバに感じたし、V15 のボルダーセクションはウォーミングアップのようにこなせた。
- わかった、わかった。すべてが完全に違っていたんだね。

そう、今回のツアーで完登できるとわかった瞬間だった。完登が超現実的に感じられた。
- プレッシャーにはならなかったの?

はい、その時はまだ。もっと後になってから確か感じた。ルートのコンディションはどうだろう、肉体的な疲労は? みたいな事を色々と心配し始めた。
- そしてレッドポイント

そう、知ってのとおり、昨日はレッドポイントの日になるとは思っていなかった。ちょっと振り返ってみると、このプレッシャーが多くの点で助けになった。最初の核心の前のニーバーをしている時、リラックスモードから戦闘モードに変えないといけないと思っていた。だけど、登っている間は変わらなかった。これは駄目な点だと思うけど、核心部の最後のモーブで落ちると思っていた。だけど実際は非常に正確で、ホールディングもフットワークも 150% の正確さでこなせていた。実際、このリラックスモードのおかげで、死ぬような疲れもなかった。
- それから?

そのあとに、クラックにフットジャムを決めて深いドロップニーを決める。この時フットジャムが今までにないくらいしっかり決まった感じがして、突然、自分自身の置かれた状況がわかった。そしてこのチャンスを逃すべきではないとも。
- そして、V13 の 2番目の核心

実際はその前にニーバーのレストの箇所があって、そこで結構な時間を使った。たぶん 3-5分。状況を確認する必要があった。肉体的には疲れていないとわかったし、本当に完登できるチャンスだと思った。2番目の核心と、V10 の 3番目の核心がちょっと怖かったけど、結局はうまくこなせた。最後のセクションも非常に緊張していたけど、どうにかうまく行った。
- 終了点には余裕を持ってクリップしたの?

ええ、3番目の核心の後に大きなガバがあり、その後は V4 程度の 5手のムーブをこなす必要がある。いつもはこのガバに着くと、完全にリラックスした状態になれて、完登モードになるんだけど、この時は、実際足が非常に疲れていた。最後のニーバーを限界までしていたので、感覚が麻痺していた。だから、この時は完登モードにはならずに非常に真剣だった。足の感覚が麻痺していて、最後のアンダークリングからのリーチーなムーブで落ちることを恐れていた。だから長めのレストをもう一度取り、それから完登した。
- このラインは 5.15d の可能性があるって言ってたけど?

このルートが世界初の 5.15d ルートだと勇気を持って言うことができる。なぜなら単純にこれまでに登ったどの 5.15c のルートよりもはるかに難しく感じたから。もちろん、これまでの 5.15c よりも難しければ、5.15d になるのかという疑問はあるけど、5.15d だと思う。100% の確信はないけど、ルートの構成要素を全て考慮すると、本当に正直に 5.15d だと思う。
- もちろん、アダム、グレードに関してコメントしていることで、あなたが偉大で、また難しい立場にいることはわかるし、その提案が非常に正直なこともわかる。誰もそこについては言及できないよ。話は変わるけど、終了点にクリップした時、何か気持ちに変化はあったの? トレードマークのようになってるシャウトはしたの?

いや、実際にはシャウトしなかった。非常に静かだった。以前にはなかったこと。終了点にクリップした時、多くの喜びと安心感が湧いてきたけど、どういうわけか全て喉元で詰まってしまった。自分にできたことは、ロープにぶら下がって、目に涙が浮かぶのを感じることだった。
- このルートはアダムにとってどんな意味がある? 少しは考える時間が取れた?

自分にとって、自分のクライミング人生では間違いなく一番重要な成果。最も価値があり、一番努力したルートで、深くまで掘り下げて考えたルートでもある。今になってもまだ信じられないようなこと。めったにできない強烈な経験。

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