(2013/10/5 / Patric matros & Ludwig "Dicki" Korb / Café Kraft)
Gimme Kraft! Trailer (Vimeo)
『Gimme Kraft』はクライマーに向けた最新のトレーニング教本。『フリークライミング上達法』や『パフォーマンスロッククライミング』、『Training for Climbing』の流れを受けているが、こ難しいトレーニング理論はすっ飛ばして最低限にまとめ、具体的なトレーニングメニューの紹介に 9割以上をさいている良書。
ただし、最低限にまとめているからこその理論が非常に重要で、継続の重要性、効率的なトレーニング、トレーニングへの心持ちなど重要な事しか書かれていない。その他の科学的な理論に関しては Web からダウンロードできる PDFファイルに事細かく書かれている。
壁を使ったトレーニングやキャンパスボード、懸垂のトレーニングはクライマーにとっても一般的ではあるが、吊り輪やスリングトレーナー、プッシュアップバー、スティックボードなど、ほとんど馴染みがないようなトレーニングも掲載されている。
"There's no such thing as too much power.(力がありすぎて困ることはない。)" という、ウォルフガング・ギュリッヒ(Wolfgang Gullich) の言葉をベースにしているだけあって、筋力、筋力、筋力なメニューで溢れている。本のタイトルも英訳すると『Give me a Power』だし、本書に登場するクライマーもひたすらにパワーの重要性を力説している。
しかしながら、筋トレは初心者なら 20-30%、中上級者でも 40%にとどめるべきで、クライマーは壁から離れてはいけないことも強く説き、プラトーに陥るとすぐに筋トレに走りがちなクライマーをいさめている。そのせいか、トレーニングメニューの紹介は壁を使ったトレーニングからだ。
ただし、どんなトレーニングをどれだけやればいいのかについては触れられていない。紹介されてるトレーニングをすべてこなすのは不可能だ。コンペが目標なのか、ルートなのか、ボルダーなのか、目的によってもトレーニングは変わってくる。強みや弱みも人によって違う。千人いれば千種類のトレーニングメニューがある。トレーニングメニューの組み立てが一番難しいところだが、ここは各自で考えていくしかない。幸い、各トレーニングが初心者向けなのかプロ向けなのか、5段階で表記されており、18歳以下でも大丈夫なトレーニングかどうかも記されている。上手く取捨選択して試行錯誤する必要がある。
本書は『Cafe Kraft』というドイツのジムで行っているトレーニングの集大成本でもある。ドイツ語がベースではあるものの、英語も併記されているため、内容の理解にそれほどの支障はない。写真もわかりやすく、複雑なエクササイズに関しては、付録の DVD を見ればわかるようになっている。

クライマーもアレックス・メゴスやサーシャ・ディジュリアン、ヨハンナ・アーネストなどなど旬なクライマーをはじめ、堀創さんも登場している。
Gimme Kraft! Trailer (Vimeo)
以前は Pump のオンラインショップで購入できたが、現在は売り切れのようである。まだ在庫があるオンラインショップもあるようなので、興味がある方は探してみて欲しい。
- Gimme Kraft! (Pumpオンライン)

なかなか良かったので、ちょろっと日本語にしてみた。
おまけ
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