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エリック・ホースト、インタビュー - 子供のトレーニングについて -

カテゴリー: その他
Horst_family2012.jpg Eric Hörst Interview (8a.nu)
Eric Hörst, author of training for climbing books with worldwide sales over 300,000 and father of two sons 10 & 12 who both have done a 8b (+) gives us some insight on kids progress.
先日、10歳7ヶ月で Red River Gorge の God's Own Stone(5.14a) を登り、5.14台を登った世界最年少記録を出した Jonathan Hörst の父親、エリック・ホースト(Eric Hörst) のインタビュー。子供のトレーニングについて語っています。エリックはクライミングのコーチをしています。以下超訳。


- あなたのお子さん、Cameron(12) と Jonathan(10) は、その年ですでに世界レベルのクライマーだけど、どうやって子供と一緒にクライミングをすればいいか、子供を持ってる親御さん達に何かアドバイスってできる?

子供と一緒に行くクライミングは、子供がいない場合と比べると、要求される心の持ちようが全く違います。唯一の方法は、 たとえたくさん登って疲れたとしても、クライミングを楽しめるように、ぞっこんになるようにすることです。終日両親が登っているのをただ見ているのでは駄目です。つまり、親が登りたいルートは二の次で、子供が楽しんで登れ、経験や勉強になるルートをセットすることに時間を掛けなければいけない。親御さんは登っているよりもビレイしている時間のほうが長くなるでしょう。子供を岩場に連れてきても、両親は終日ずーっと登っていて、子供は地面に座らせて遊ばせているだけな場面を見てしまうと悲しくなります。このやり方だと子供はクライミングを嫌いになるというお手本になってしまいます。もちろん妻と私は登りたいルートはそれぞれありますし、条件が良ければプロジェクトにもトライしたいですが、子供達を優先させます。

ルール #1:子供達をさっさとパンプさせて、子供達がレストしている間に大人が登る。
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- 子供達とツアーには行ってますか?

私達にとって、クライミングは家族旅行です。だからしょっちゅう子供達とツアーに行っています。ただ、結構労力が必要で、時々ストレスにもなりますが、新しい岩場に行って様々なタイプのクライミングを経験することは、子供達にも、親にとっても報われることもまた多いです。クライミング技術を学ぶという観点から、そういったツアーは高難度ルートを登る子供達を育てる鍵の一つです。もちろん、良いコーチ方法もまた重要ですが。インドアでのクライミングや 1つや 2つ程度の岩場の経験では、新しい技術や長所を伸ばすためには非常に限られてしまいます。私達には天候や時間、お金の制限がありますが、子供達には各季節で色んな岩場へ連れて行くように頑張っています。だから、夏にはトラッドの岩場にも行っています。子供達はすでにヨセミテやデビルズタワー、ガンクスでも登っています。子供の運動技術や脳内への入力、たぶん、最も重要な、筋繊維のタイプ、スピードや強さを決定する酵素やホルモンの生成のような遺伝子へ最もいい影響を与えるのは 8歳から 12歳の間が最も適しているという最新の研究があります。この短い期間に正しいことを行うことが、トレーニングと経験の観点から将来のアスリートを育てるために重要な要因となります。この機会を逃してしまうと、もう二度と取り戻すことはできません。これは簡潔には説明できない非常に大きな課題です。ただ、若い時期のクライミング体験が非常に重要であり、何で、アダム・オンドラやアレックス・メゴスのようなクライマーだけが目立っているのかが理解できます。

ルール #2:子供には出来る限り色んなタイプのクライミングを体験させ、様々な岩場に行かせる。そういったツアーが子供にとってはいい経験になり、子供にとっても親にとっても、人生における多くの素晴らしい思い出となるでしょう。
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- 子供達はいつからクライミングを始めたの?

自宅には大きなトレーニングルームがあります。だから、子供達が歩けるようになったら、すぐに壁の周りで遊び始めるのは自然でした。4歳になってからは、月に数日、岩場でトップロープを使って簡単なルートを登り始めました。加えて、週に数日は自宅の壁でも遊ぶようになりました。子供達は 2人とも、7歳の誕生日の前には岩場でリードしています。さっき書いたコンセプトに従い、8歳からは色んなタイプのクライミングを経験させ始めています。これはまた、やり過ぎない程度に、彼らのクライミング能力を成長させるためのトレーニングプログラムを始めるにもいい年齢です。彼らの成長機会を逃さずに、運動能力の基礎をつけるために、色んなタイプのクライミング以外のスポーツも体験させています。Cam も Jon も冬はスキー、秋はサッカーをしています。だから、彼らは 2-3ヶ月は集中したクライミングはしていません。クライミングのオフシーズンに他のスポーツをやることは重要で、10歳の子供がプロクライマーのように年間を通したトレーニングをするには早すぎると思っています。

ルール #3:8歳から 12歳の時に子供のクライミングスキルが伸び始めるので、彼らに良いコーチをしてあげよう。ただ、いくつか他のスポーツをさせることも忘れずに。どこの子供が次のデイビッド・ベッカムになるかはわからない。
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- では、あなたの子供は 5.14a を登ってるけど、トレーニングの観点からどういったことをしてるの?

もしこの話をすると、内緒の話なので、あなたを殺さないといけない。真面目な話、世界トップレベルのクライマーではなく、私の目標であるオールラウンドクライマーを育てるためのトレーニングをするには、まだ子供達は若すぎる。一つのスポーツに専念させるのは 10代の後半まで引き伸ばすべきというのが持論です。つまり、クライミング能力(精神的、技術的、肉体的) はクライミングに費やすための膨大な時間が必要になる。そのために、私たちは自宅の壁で週に 3-4日、2時間のトレーニングをして、天候や時間が許す限り、毎月、週末の 2日間は岩場で登っている。Cam と Jon は 2人ともサッカーをしているので、毎週サッカーのトレーニングもしている。その 1時間のトレーニングは瞬発系のトレーニングや、飛んだり、スプリントだったりと、幸運なことに、それらのトレーニングがクライミングにとって拮抗筋を鍛えるトレーニングに役だっている。結果として、思春期特有の早い肉体的な成長や将来のハードなクライミングにとって、怪我のしにくい、バランスの良い筋肉を作り上げると思っている。最も重要なことは色んなタイプのクライミングをしながら楽しんでトレーニングを続けることと、結果を数値化して記録することです。悲しいことに、今のほとんどの子供達は、コーチである父親と無駄な時間を過ごしているだけです。去年、DPM に若者向けのトレーニングに関する記事を書いたので読んでください。

ルール #4:若者のトレーニングとクライミングはいつも楽しくあるべき。子供がルートで落ちても、泣かせては駄目。もし、子供がトレーニングをきついと考え始めたり、作業のように感じ始めたら、クライミングからは離れるべきです。
- 将来的に子供達はどれだけ進化すると思う?

将来的には 10歳の子供が、身長が高ければ、5.14b を登ると思う。だけどリーチが制約になると思う。若手のクライマーにとっては Red River Gorge があってると思う。小さいホールドや、大人だったら持つのが大変だったり飛ばしてしまうような中継ホールドがたくさんあるから。いくつかの例外はあるけど、パワー系よりも持久力系のルートがいい。現在のアメリカでも世界でも、子供の世代のトップレベルが 13歳から 16歳の成長期を迎えたら、凄いことが可能になる。アダム・オンドラが作った、5.15a を登った最年少記録(15歳 5日) を破る子供がすぐに出てくると思う。
- 次の計画は何ですか? 子供達に望むことは?

今年の夏はアメリカの西部に行く予定です。来年の夏はできればヨーロッパに行きたい。最終的には家族として、クライミングの精神や理論をいろんな人達と共有しながら、クライミングの世界を突き詰めて色々経験して行きたい。長期的には、Cameron と Jonathan にはクライミングへの情熱を持ち続けて、私のようにクライマー人生を送ってほしい。もちろん、彼らが人生の別の方面で秀いでることも願っている。クライミングは人生の他の局面でも役に立つような強力な精神力を宿らせてくれるし、子供達が岩場でも日常でもクライミングの力を活用できるように願っている。



日本でも田嶋あいかさんが 13歳でエゴマニアック(5.14a)を登っており、どんどん低年齢化が進んでおり、クライミングジムでも、子供向けの講習会をやってるジムも増えて来ました。テレビCM でもアシマ・シライシ(12) が出ていたりとメディアの露出も増えています。
安全性も含めて、子供向けのクライミングの啓蒙活動が今後は重要になってきそうです。
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