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ビッグ・アップのジョシュ・ロウェル、インタビュー

カテゴリー: その他
Shooting-in-the-Adirondacks-photo-Tomas-Donoso.jpgPhoto by Tomas Donoso Storytellers: Josh & Brett Lowell of Big UP Productions (AAC)
Over the last 15 years, whenever one of the super stars like Chris Sharma, Alex Honnold, Tommy Caldwell, Dave Graham, Jason Kehl, and Ashima Shirashi make a significant ascent, Big UP Productions' Josh and Brett Lowell are always right there, capturing high quality footage.
『Rampage』から始まり、『Dosage』シリーズ、『King Lines』、『Progression』と立て続けにヒット作を生み出し、近年は『REEL ROCK』シリーズに注力している、クライミング業界最大の映像制作会社・Big UP Productions の創立者であるジョシュ・ロウェル(Josh Lowell) のインタビュー。
これまでの半生を振り返りつつ、クライミング映像を作る上で気をつけていること、今後の方向性などについてコメントしています。以下超超訳。

- クライミングや野外活動にぞっこんになったきっかけは何?
ニューヨークから 1時間ほど北に行った森の中で幼少時代を過ごしたんだけど、いつも外で遊んでいた。高校の時には、地球科学の素晴らしい先生が 2人いて、近くのアディロンダック(Adirondack) の山にハイキングで連れて行ってくれた。で、家族でジャクソンホール( Jackson Hole) に、ハイキングに行ったとき、クライマーを見かけて、魅力的に見えた。それから 16歳の時にガンクス(Gunks) の岩場でクライミングを覚え、少し夢中になっていた。
- 映像制作者になろうと思ったのはいつ?
叔父が映像カメラマンと映画会社をやっていたので、子供の頃からいつもカメラを持っていたし、7歳のブレット(弟) を足首から木に吊り下げてるような面白いホームビデオを作っていた。大学に入ると、ほとんどは酒の席での悪ふざけだけど、バカみたいなビデオを友達と作っていた。大学卒業後にボルダリングの映像作品を撮り始めた。最初の作品を 2つ作ってから、これからどうするかを考え始めた。
- Big UP はどうやってスタートしたの?
1997年はフルタイムでクライミングバムの生活をしていた。コンペで指を痛めて、数ヶ月クライミングができなくなった。だから、友達とガンクスへ、ボルダリングに行く代わりに、彼らの撮影を始めた。それで作ったビデオが『Big UP: Bouldering in the Gunks』。個人的な楽しみのために作った作品だけど、みんなは結構気に入ってくれたので、本気で作ったらイケるんじゃないかと思って始めた。で、その年の冬、フエコに 3ヶ月滞在して作ったのが『Free Hueco』。1999年に弟のブレッタが高校を卒業したので、古くてオンボロの RVカーでオビ・キャリオン(Obe Carrion)、クリス・シャーマ(Chris Sharma) と一緒に旅を始め、『Rampage』を撮った。この作品ではブレッタがたくさん撮っていて、世間にも大きな影響を与えた作品になった。
Big-Up-Office.jpg
Big UP のオフィスPhoto by Josh Lowell
- 目標は?
最初から、自分たちが持ってるクライミングに対する情熱を、できるだけ多くの人とシェアできるようにすること。素晴らしい題材を撮り続けて、視聴者を育て、クライミングの素晴らしさを讃えたい。
- 撮影するクライマーやストーリーはどうやって選んでるの?
最近は短期間で作れるような映像ではなく、より深い物語を伝えられる作品に注力している。これは、古い Web動画からは離れて、REEL ROCK にあわせている。中には成果が出る数年前から追いかけている作品もあるし、結果が出ないまま終わってしまう作品もある。電話もメールも創造性のある打ち合わせもたくさんやっている。
- 貴重な完登シーンってどうやって撮ってるの? サーシャ・ディジュリアン(Sasha DiGiulian) がクリス・シャーマの Era Bella(5.14d) を登ったシーンや、アレックス・オノルド(Alex Honnold) のフリーソロに近い Too Big to Flail の初登シーンとか。
忍耐と運かな。シャーマとオンドラが 「La Dura Dura」 にトライしているシーンは 6週間撮っていたけど、結局 2人とも完登できなかった。だけど、完登はなくても物語は作れる。トミー・カルドウェル(Tommy Caldwell) の 「The Dawn Wall」 は 3シーズンも追っかけてるし、たぶん、もうすぐ完登できると確信している。クリスやトミー、デイブ・グラハム(Dave Graham) が素晴らしいクライミングをした時って、まだまだ上を狙える余地があったと思っている。彼らと行ったすべての旅で完登は約束されていた。クライミングの限界は、トップクライマー達によって、ゆっくりと、時間を掛けて押し上げられてると思ってる。偉大な記録はなかなか生まれるものではないけど、そこにはいつも物語がある。
JL-shooting-with-Sharma-on-his-6-pitch-project-in-Spain-photo-Brett-Lowell.jpgPhoto by Brett Lowell
- 好きなカメラ機材は何?
『REEL ROCK 7』 の 「La Dura Dura」 を撮る時に使ったんだけど、カメラマンの Matt Maddaloni と一緒に、リモコンで操作でき、上下に動かせる新しいケーブルカメラのシステムを開発した。クライマーの動きに合わせてスムーズに動かすことが出来た。おかげで素晴らしい絵が撮れた。
- 仕事で最も大変なことって何?
何ヶ月にもなる地獄のような編集作業かな。だから不健康になる。
- 父親、夫、クライマー、映像制作者のバランスはどうやって取ってるの?
いつもどれか一つしかできない。常に与えられた時間の中で、そのどれか一つの役割でベストを尽くそうとしている。少しは他のこともやるけど、常に最高な状態を維持するのは難しい。夏の間はだいたい編集作業の追い込みをしてるけど、子ども(6歳の女の子と1歳の男の子) と遊ぶ時間を作るようにしていて、他のことはちょっと投げやりになる。妻への埋め合わせの時間や、クライミングのための体を取り戻す時間は、1年の中ではほとんど取れない。全てを上手くこなすのはほんとうに難しいけど、将来の一番の目標かな。
- 我々がどうして岩登りに夢中になっているのかを、素晴らしい自然でのクライミング映像を通して、どうやって一般の人に伝えようとしてるの?
映像でのクライミングを正当に評価するのは難しい。クリフジャンプをするボーダーにカメラを向ければ、誰でも撮れるようなスノーボードのようにはいかない。私たちは、そのクライマーが何を達成しようとしているのか、というストーリーを伝えられるような努力をしなければいけない。そういった努力や挫折が、上手く行けば大きな成功の喜びに繋がる。私たちは、クライマー自身が持ってる迷いに対する心の葛藤や呼吸の音、岩に爪をこすりつける様をとらえなければいけない。
もし、そういった要素をすべて集められれば、その結果は、あなたが普段見ている他のスポーツの映像よりも、より深い人間性に溢れた、普遍性の高い作品になると思う。クライミングは、登れるか、登れないかという緊張感を内在している。スキーでは簡単だ。ただ格好良く見えるかどうかだから。クライミングでは、クライマーはいつも成功か失敗の境界線上にいて、99%は失敗している。もし、成功すれば、頂上に行ける。それが、誰でも掴むことができるクライミングの象徴的なことです。
- アシマ・シライシとオビ・キャリオンを追いかけた「Origins」は 5 Point Film festival 2012 や Kendall Film festival でベスト映像に選ばれたけど、何がこの映像作品の魅力なの?
2人の関係が驚くほどに非常に強力だからだよ。アシマのクライミングとオビのストーリーがみんなを虜にした。彼は、これまでのハードな経験から学んだこと、クライミングで健康的な生活を送る方法を彼女に教えようとしていた。
- 映像制作者を目指す人達とシェアできる、価値のある教訓って何かある?
成長するためには協力する必要がある。どんなに才能があると思ってる人でも、一人ではそれほど多くのことはできない。エゴは捨て、他人から学んで、集まれる人でベストなチームを作って作業した方がいい。あと、編集は短く簡潔に!!
- REEL ROCK Tour と並行して何か作ってるの?
常に、多くのアウトドアメーカーのコマーシャルを引き受けて作ってる。短い納期で作る、クリエイティブなショートフィルムの作業も面白い。新しいアイデアを試す絶好の機会でもあるし。

YouTube のチャンネルも更新している。REEL ROCK のような巨大なプロジェクトのつなぎで、新しい短編映像をリリースするのに最適な場所だ。ちょうど、ジェイソン・キール() が撮影して編集した「Ashima: Return of the Warrior Ninja Princess」という可愛らしい短編映像をリリースしたばかりだよ。それは「Origins」の補足的な映像でもある。10歳だったアシマが、昨冬にフエコで V13 を登った映像。

あと、ウェブサイトを、完全にリニューアルして公開した。ここは、新作を発表した時に、視聴者と繋がりを持つ重要な場所になると思う。また、昔の作品の殆どをダウンロード出来るようにした。だから、まだ VHS で持ってる人もアップグレードできますよ。


リニューアルされたサイトからは『Rampage』以降の作品は全てダウンロード可能ですが、残念ながら初期の『Free Hueco』や『Bouldering in the Shawagunks』といった作品群は見れないようです。

日本でもダウンロード販売が始まると色々と楽なのですが・・・。


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