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マグナス・ミトボのトレーニング

カテゴリー: その他
Noble-MagnusMidtbo002-BW.jpg Magnus Midtbo on Climbing Training (Rock Climbing UK)
As part of our training series, Magnus Midtbo has kindly allowed us to interview him on the different training techniques he uses to help him climb some of the hardest routes in the world. Having climbed 9b and consistently placed in the top 3 in international competitions, Magnus is no stranger to training hard.
サーシャ・ディジュリアン(Sasha DiGiulian) の彼氏でもあり、ハードなトレーニングでも有名なノルウェーのマグナス・ミトボ(Magnus Midtbo) へのトレーニングに関するインタビュー。以下超訳。

- クライミングに最も効果的なトレーニングは何?
まず最初に言いたいのは、多くのクライマーと違って、僕はトレーニングを楽しんでるということ。「トレーニング」という単語を聞くだけでみんな嫌な顔をするけど、クライミングを進化させるためには、トレーニングに関するやり方や考え方をみんながオープンにしてシェアすることが重要だと思う。

期間を決めたトレーニングが僕にとっては本当に重要なんだ。何事にもやらないといけない時期がある。不幸なことに、1年を通して常にトップレベルの状態を維持するのは無理なこと。だから、いつ、何のために体作りをしたいのかの期間を決めないといけない。これまでに何年も色んな方法でトレーニングをしてきた。ノルウェーから来た僕は、クライミングのためにどんなトレーニングをすればいいのかを探す旅を余儀なくされたことは、幸せでもあり不幸でもあったよ。上を目指すコンペクライマーにとって最も論理的な場所はオーストリアのインスブルックかな。だから僕はまずインスブルックへ行った。だけど、何でオーストリアが他の場所に比べて良いのかは、オーストリアでしばらく過ごすまで(コンペに出るまで)はわからなかった。唯一の最適な説明は Tivoli というジムがあることかな。そのジムは、これまでに僕が見た中でも一番ハードなルートがたくさんあるジムだった。そんなハードなルートはノルウェーのどんなジムでもセットできない。だから、ほんの一握りのクライマーにしか、そんなルートで登れるチャンスは無かった。

インスブルックに永住したいけど、実家でやらないと行けないこともあるから無理なんだ。いつも Tivoli でトレーニングできるわけじゃないから、自分の進化のために、自分なりの新しい方法を考えないといけなかった。そんなわけでとても「奇妙な」トレーニングをしていると思っている。

そんなわけで、僕のトレーニングをまとめてみた。私たちの体はみんなそれぞれ違うので、それぞれが自分に合ったトレーニングを見つける必要があるよ。だから、自分のトレーニングを誰にでも適応することはできないけど、誰もが 1つか 2つは学べる点もあると思う。

今一番注力していることはハードなスポートルートで、インドアでのトレーニングがメイン。数ヶ月前、体を作る必要があったので、数種類のウェイトトレーニングをしていた。パワーが付くことは色々とメリットがある。個人的には全く怪我をしていないのはそれが理由だと思ってる。10日間をハードなトレーニング期間にし、それから10日間を通常のトレーニング期間にしている。そしてそれぞれの間に 2日間のレスト日を入れてる。ハードなトレーニングをしている期間は日を追って弱くなっていき、ほとんどオーバートレーニングの状態だけど、ハードなトレーニング期間が終わり、優しいトレーニング期間の間にだんだん体が適合してくる。

どれだけハードなトレーニングをしているかの例


  • ウォーミングアップで 15分軽くランニング
  • ウェイトトレーニング。できるだけ上半身の多くの筋肉を鍛える。10種類の違ったトレーニングを 8回 x 2セット。拮抗筋を鍛えることに注力する(クライミングで使う方向とは逆)。だけど、クライミングに直接関係してくるトレーニングも 2種類組み込む。最適なトレーニングメニューを作れるコーチと一緒にやった方が良い。
夕方
  • ウォーミングアップを15分
  • 適度なボルダリングを15分。(いつも持久力系の前にパワー系のトレーニングをする)
  • 30ムーブの持久力系の課題を 10セット。それぞれのサーキットの間にはクライミングと同じだけのレストタイムを取る。だから、サーキットの数と同じだけ休む。もし一緒にトレーニングをしている人がいるなら、そのパートナーがクライミングする時間にする。声を出して数え、次のホールドを指示してくれるパートナーを持った方がいい。
  • 簡単なボルダリングセッションを違った課題で 1時間。あるいは 1時間半ほどリードクライミング。とにかく何でも登ること。
- あなたのトレーニングやクライミングに大きく影響を与えたアドバイスはある?
以前はノルウェーチームのコーチで、今のスウェーデンのコーチである Peter Bosma に言われたことで、「クライミングやトレーニングをストレスにしないこと」かな。僕はそれをあとになってから非常に良いアドバイスだということがわかった。トレーニングの前、中、後にやっていることを十分に認識し、自分の体が発している信号を分析できるようにする必要がある。僕も含めて、僕たちのほとんどが、すぐに次のトレーニングスケジュールをやりたくなるけど、決して急いでやってはいけない。ジムにいるときは家にいるような気分でいないと駄目。
- あなたのパワー系のトレーニングはやりすぎてる気がするけど、どうやって怪我をしないようにしてるの?
期間を決めたトレーニングが怪我を避けるための重要な要素になってる。ほとんどのクライマーは 1年中同じトレーニングに固執するけど、ある程度からはあんまり効果がない。体はいつもと同じトレーニングに適応しようとするし、ある程度からは効果が見れなくなる。色んな種類のトレーニングが怪我を避ける上では重要で、新しいエクササイズを取り入れ、できるだけ色んなショックを体に与えるようにしてる。僕がウェイトトレーニングをしている間は、筋肉分の体重が増えるけど、どれだけ早く筋肉を付けられるかには個人差がある。僕は本当に簡単に筋肉を付けられる。付けた筋肉は本当はクライミングには役に立たないし、クライミングだけでは付けた筋肉を維持できない。筋肉の多くは失うけど、クライミングではカバーできない方法でより強くなることができる。個人的には自分を色々と助けてくれていると思う。これまでに怪我をしていないから、正しいことなんだと思う。
- パワー系のトレーニングと持久力的のトレーニングはどうやって組み合わせているの?
持久力は一度身につければ簡単に戻すことができる。僕が知ってる、若いときからクライミングを始めたクライマーは持久力系のトレーニングで簡単に持久力を戻すことができる。早い人は 1週間で。だから、肉体的な強度を鍛えるトレーニングに注力するようにしている。持久力系のトレーニングが重要なのはコンペやツアー前かな。重要なコンペの前には 1~2週間はインスブルックで過ごすのが理想。コンペのためにはスペインの岩場で登るのもいい。特にオンサイトトライできるルートがたくさん残ってるから。たとえば、ロデジャールで 1ヶ月以上過ごした後には、かつて無いほどに強くなれたと感じたよ。
- クライミング意外のトレーニングを、筋肉を付けるために色々やってるみたいだけど、なんでそんなトレーニングが重要なの?
怪我の予防のためにも色んな種類のトレーニングをすることはとても重要だよ。クライミングでは使わない特定の筋肉を鍛えるためか、非常に特殊なルートを完登する強さを得るためにほぼ毎日スリングを使ったトレーニングをするようにしている。ノルウェーをベースにしている Jungle Sports という会社の器具を長年愛用している。最近、スポンサードして貰うようになり、Climb10 というクーポンコードを Web で使うと 10%オフで買える。

Magnus Midtbo on Climbing Training

- 指の強さを鍛えるのに最適なトレーニングは?
指の強さ(小さなカチホールド) が常に自分の弱点。だから、その質問には答えるのに最適なクライマーでは無いかもしれないけど、岩場でボルダーをしたあとは、いつも僕の指は最強だと感じてる。ホールドは徐々に小さくなってるし、どこかを登ろうというモチベーションがあるときは、さらに自分自身を高めることができている。ジムのホールドで指の力を強くするのは大変だということはわかってる。僕のアドバイスはフリクションの少ないホールドで登ること。そうすれば、ホールドを保持するためにより力を入れないといけない。指力が強い人を見てて思うのは、遺伝的な要素も多いということ。何人かは生まれつき指の力が強いと思う。それ以外の人はハードなトレーニングをしないと強くならない。一般的に軽いクライマーは比較的指が強いかな。特に、クライミングを始めた頃は、指力を付けるには長い時間が掛かる。指力は、特に特別なトレーニングをしなくても毎年強くなってるように感じている。
- プライオメトリックトレーニング(筋肉ができるだけ短時間で最大筋力を発揮できるようにするエクササイズ)やキャンパでのボルダリングのような、両腕を鍛えるトレーニングを多くやってるように感じるけど、詳細を教えて?
普段はボルダリングの後に 15分の両腕を鍛えるトレーニングをしてる。いつも上手くいってるから、たぶんいつも楽しんでやってるんだと思う。YouTubeの僕のトレーニング動画で、少し誤解されてると思う。違った 2つの新聞でインタビューに答えていて、クライマー以外の人をターゲットとしたレポになってる。彼らは一般の人でも簡単に時間を取ってできる色んな種類のトレーニングを紹介することが重要だと考えていた。クライマーでは無い人にとって、8a と 9a を登る違いは大して重要なことではない。不幸なことに、新聞などはトレーニング風景に、より焦点を当てたがる。だから、彼らは一層鮮烈な映像を求める。 Noble-MagnusMidtbo040-BW.jpg

でも、上腕を鍛えるトレーニングはほどほどにしておいた方がいいと言える。ビデオの中でやってるようなトレーニング後の 2日間は、かぶった長いガバルートでもクライミングが軽く感じる。だから、もし、冬の間にそんなトレーニングをしていたら、その年の残りの期間は、能力を維持するのにそれほど努力は必要なくなるよ。

Magnus Midtbø: The One Finger Pull-up

- 片腕懸垂やネガティブトレーニング(引きつけた状態からゆっくり下げる) の動画を最近見たけど、どんな効果があるの?
僕のような大柄なクライマーにとって、ある分野では多くのメリットがあるから、強い腕力を持つことは非常に重要。かつて、片腕でひきつけて 10秒間ロックできるようになってからは、トレーニングをよりハードにするために、おもりを付けてやるようになった。片腕懸垂でも、下ろすときもゆっくり下ろした方が良い方法だということがわかった。通常、10回を十分にこなせるようになったら、重りを付けるか、よりハードにするようにしている。
- クライミングは強さや違った筋肉群の連携が要求されるスポーツだけど、何か特別なテクニックや器具は使ってる?
色んな種類のトレーニングをすることが自分の体をよりよく理解することを助けている。クライミングをしているときは、自分の体がどんな感じで動いているかはほとんど考えてない。全ては自動で動いていて、どう動くべきかだけを考えている。だけど、色んなトレーニングをするときは正しい動きをすることに気をつけてる。正しい姿勢でホールドを持って、必要な筋肉だけを使うこと。奇妙に感じるかも知れないけど、コンペではそれが自分を助けてくれる唯一の方法だと思ってる。コンペでは誰もが神経質になってる。だから、そうやって体を動かせないと駄目。何人かのクライマーは神経質になりすぎでホールドを強く握りすぎているから、リードの時は普段よりも下で落ちてしまうだろう。他のクライマーはアドレナリンを巧く使ってる。コンペクライマーの良い点と悪い点の違いは明らか。ハードルートのオンサイトや岩場でのレッドポイントでも同じ事が言える。これまでにやってきた様々なトレーニングによって改善されたと思うことは、緊張をほぐせ、必要な筋肉だけを使えるようになったことかな。自分自身の体をよく理解すること。

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